DTMスキルアップメモ - frenchbread

見習いボカロPがそこそこのボカロPになるまで、が描かれていくはずのブログ。

初心者が初心者に向けて書いた、Cubase標準でのEDMの作り方

<目次>

 

はじめにお断りしておきます

この記事はEDMの作り方を説明することが目的だが、作者のわたしはまごうことなきEDM初心者である。ただし、1曲だけ曲を作ってニコニコ動画にアップした。下の作品である。

 

www.nicovideo.jp

 

それだけなのにハウツー記事を書こうという暴挙である。

つまり、バギを覚えたての僧侶がレベル1の魔法使いに「攻撃呪文の基礎を教えてやるゼ!」とイキっているような状況だと言い切っておく。

 

じゃあなんでこんな記事書いたの?

※そんなんどうでもいいから本編行け、という方は次へどうぞ

日本のアマチュアにバンドミュージックを作る人や、ボカロ曲を作る人は多く、自分がやってるから偏見が入ってると思うが、本当にレベル高いなーと思っている。

いっぽうで、EDMを作るアマチュアはそれほど多くは見かけない。

だいいち「そもそもどんな曲をEDMというのか」からして解釈が多様で、「低音のウーハーの迫力だけで押しまくる暴力的な音楽」というネガティブめなイメージの方も多いのではないか。というか、わたしは少し前までそうだった。

実際にはEDMの幅はもう少し広くて、ハウス・トランス・ダブステップなどとサブジャンルは多様であるし、前述のイメージのような方向性の曲もあれば、もっとメロディアスな曲もある。

後者の例としてわかりやすいのがZeddで、これは日本人ウケがいいと思う。下に挙げた曲なんかはCM(スズキのSWIFT)でも流れていて、1:20あたりから聴くと「ああアレね」と思う方が多いのでは。

 

ちなみにZeddはロシアの人なのだが、ロシア人音楽家の流麗でドラマチックな作曲センスは昔から日本人の好みと相性がいいように思う。たとえば「くるみ割り人形」等で有名なクラシック作曲家のチャイコフスキーはロシア人である。

 

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ということで、ウケる要素もあるしDTMとの相性抜群な割に、EDMの初心者向けのハウツー情報って以外と少ないように思えたのがこの記事を買いた動機だ。

 

とか言うと「はは、この情弱が。ちょっとググればたくさん記事あるし書籍でもけっこう紹介されてるだろ」みたいに仰る方もいるかもしれぬ。

なんだけれども、ある程度本格的なものになると、音源としてMassiveとかBatteryを持っていることが前提になっていたりして、いや初心者そんなん持ってないよー、と思ったりするのである。

たとえば下のsleep freaksの動画は安定のクオリティで、実際今回わたしもとても参考にしたのだけれども、タイトルのとおり「Massive(Native Instrument社のシンセ製品)の使い方」のほうがメインテーマなので、Massiveを持っていない初心者だと「ここの部分自分の環境だとどうしたらいいかわからん」となって挫折するかもしれない。

 

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だから、先に書いた「EDMの初心者」というのは、EDMに有用そうな音源を全然持っていない人、と言ってもいい。何かとお金がかかるDTMという課金ゲー、無課金でもこのステージでまあまあ遊べることが伝わったらいいなと思っている。

 

    EDMっぽくする最低限のポイント

やっと本題に入る。先に書いたとおりEDMという複数のジャンルのグループをひっくるめて書こうとしているので、そもそもが相当にいい加減なものだが、あなたはまだメラしか使えない魔法使いだ、ということにしているので許してほしい。

まず、ざっくりまとめるとこんなところだ。

 

①楽器編成:電子ドラム+シンセ+SE

②構成:ビルドアップ→ドロップ

③リズム:4つ打ちキック&サイドチェインによる裏打ちベース

 

以下1つずつ説明していく。

(ちなみにわたしはCubase 8.5を使っている。音源名など細かい部分がバージョンによってはぴったり一致しないかもしれないが、ご容赦いただきたい。)

 

①楽器編成:電子ドラム+シンセ+SE

1)電子ドラム

ドラムは当然生ドラムではなく電子ドラムを使う。一般的には「TR-808」「TR-909」というメジャーなキットが定番であり、HALion Sonicにも「T8」「T9」という名前が入っているプリセットはそれにあたる。

ただ、迫力的にはGroove Agentの、Dub(ダブステップのダブ)とかDanceとかElektroとかの系統のものが適しているように思われる。(「かえるのうた」ではDubstep Kit01を使った。)

もっと凝るなら、後述のオーディオ素材を駆使して独自セットを作ればもちろんベターだろうが、ベーシックなものならプリセットでも十分かと思う。

 

2)シンセ

ベース、コード楽器、メロディ楽器などあるが、全部Retrologueでいける。Cubase標準にはPrologueもあるが、シンセ初心者にはRetrologueのほうが入りやすいと思うので推奨。もしプリセットでどんぴしゃのイメージのものがあればPrologueも使うくらいでどうだろうか。

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とはいえRetrologueでも、シンセのパラメータをいじるのは初心者として挫折しやすいところだと思う。

なので、細かいことは気にしない。「基本はプリセット」を信条に、せいぜい以下くらいのカスタマイズにとどめればいいのではないだろうか。

 

・右上AMPLIFIERのADSR。アタックが弱いorキツいならAを、音が持続しすぎるor減衰しすぎるならS(D)を、余韻が寂しいorうるさいならRを動かす。RはFXのリバーブやディレイでの調整もあり。

・音をもう少し高くしたり低くしたりしたければ(MIDIのオクターブ上げ下げだとうまくいかない場合)、OCTAVEのつまみをずらす、または左下SUBをON/OFFする、またはそれぞれのオシレータ(OSCILLATOR)のMIXで調整する。

 

3)SE

オーディオ素材は、随所にいい感じに入っているだけで、ビギナーっぽさを払拭できる気がしている。そしてCubaseのメディアベイの素材群はどうしてなかなか使える。

オーディオ素材は探すことがめんどくさいのが難点なのだが、覚悟を決めて「Electronica/Dance」とかでフィルタして、片っ端からプレビューしていくしかないと思われる。はじめてみると意外にハマる(笑)

ピックアップしたオーディオ素材は切り刻んだりフェードアウトかけて尺調整したり、移調して高さを好みにものに変えると楽曲により馴染む。このくらいならサンプルエディタのお世話にならずとも簡単な操作でできるし。

「かえるのうた」でも、謎のDJっぽいボイスや、かえるの鳴き声っぽい「くわくわ」という音など、随所でメディアベイのオーディオ素材を使ってみている。(冒頭や末尾のリアルなかえるはニコニ・コモンズの力を借りた。)

 

②構成:ビルドアップ→ドロップ

ポップスの「A/Bメロ→サビ」と同じといえば同じなのだが、ポップスに比べて、EDMではサビにあたる「ドロップ」の直前で限界まで盛り上げる傾向が強い。スネアが「タン、タン、タン、タン、タンタンタンタン タタタタタタタタ」と盛り上がっていくあれだ。さっきのZeddのYoutubeなら1:25-1:30あたり。

 

定番手法は以下の3つである。

 

1)スネアのスピードアップ

さっき例に出したばかりだが、↓こんなやつだ。下から2段めのC#1の音がスネアである。ここはそれ以上特に説明不要だろう。

なお、この例は相当そっけない部類であり、次の「ピッチ上昇」と併用して16小説くらいかけてジワジワ盛り上げることも多い。

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2)ピッチ上昇 

 クライマックスに向けて、スネアや効果音的な音色のパートのピッチをオートメーションで上昇させていく。ちなみにCubaseのオーディオ素材には、最初からそういう効果がかかった音が入っていた。便利なので「かえるのうた」ではそのまま使わせてもらった。

 

3)ノイズのローパスカットオフを上げていく

ノイズのトラックを用意する。これはRetrologueで、プリセットを選ばずに作ろう。

まず左側のオシレータ(OSCILLATOR)の中から、NOISEだけを選択しておく。タイプはホワイトノイズ。

 

次がポイント。FILTERのSHAPEをLPxx(ローパス:CUTOFFで指定した周波数より小さい周波数だけをとおす)に設定して、はじめは真ん中の中低域くらいにしておいて、盛り上がるのと同時につまみを右にまわしていく(ようなオートメーションを書く)。そうすると、最初は400Hzくらい以下の周波数の音しか出ていなかったのに、少しずつ高い周波数の音域が通るようになるので、音が明るくなっていく。これが盛り上げに一役買うわけである。

なお下図ではレゾナンス(RESONANCE)が0だが、本当は7あたりとかに設定しておくと、音のエッジが際立つ感じになるのでベター。

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1+2+3)全部あわせると?

こんな感じになる。 後半で風の音のようにジュワーー!と鳴っているのが3のノイズである。

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③リズム:4つ打ちキック&サイドチェインによる裏打ちベース

EDMでは4つ打ち、すなわち4/4の1拍単位で淡々とキックを配置するのが鉄則である。そして、その強固な低音のビードを邪魔しないように、もう一つの低音の要であるベースはサイドチェインという手法で音圧を操作する。

 

いい加減なサイドチェインの説明

サイドチェインの解説はどこかでちゃんと見てもらうほうがいいと思うが、いい加減に説明を試みる。

・音圧のデコボコを平坦にするおなじみのエフェクト「コンプレッサー」を使って、ベースの音とキックの音がぶつかるところを圧縮する手法。

・「コンプレッサー」は通常、一つのトラックの中でのデコボコを平坦にするのに使うが、サイドチェインの場合は「キック+ベース」のトータルの音量に対してコンプレッサーをかける。ただし、音圧を抑える対象をベース側だけにするのが特徴。

・イメージとしては、ベースに対してキックがサイドから割り込んできて一体化(チェイン)する。音圧の天井にぶつかって、割り込まれた側のベースがつぶされる。という感じだろうか。これで、「ぐ↓わーん↑ ぐ↓わーん↑」と音量がウネウネするベースができあがる。

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※画像は偏ったDTM辞典から拝借した。

 

 

もしこれがあまり理解できないようだと、現時点ではサイドチェインの実装はちょっと難しいかもしれない。それから、CubaseでもElementやAIの場合はサイドチェインが使えないそうだ。

その場合は↓これで代用すればいいと思う。

 

 

dtm-matrix.net

 

サイドチェインに挑戦

まじめに実装するのであれば、手順はこんな感じだ。

①ベースにコンプレッサーをインサートし、サイドチェインを有効にする

②キック(Outを他の音とバラしておく)のSENDにベースが選択できるようになっているので、ベースに送り込む

 

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画像の編集が致命的に下手だという指摘は断固として耳を塞いでおく。

 

ここまでやれば、あとは普通のコンプレッサーだ。GR(ゲインリダクション)がウネウネと縦に動き回るように、スレッショルドやレシオを設定してやればいい。

なお、上の具体設定ではAttackが0.1で、ベースの立ち上がりを完全につぶしてしまっているが、少しAttackを増やして(コンプの効きはじめを遅らせて)ベースのアタックを聴かせるほうがいい場合も多いだろう。

 

 わたしの拙い説明より、これを見たほうが早いかもしれない。

www.youtube.com

 

なお、上の動画でも説明されているが、サイドチェインはベースにだけかけるとは限らない。「かえるのうた」の場合はパッド(高めの音域で、もわーんと薄く鳴っている音)にもサイドチェインをかけた。